毎日診療をさせていただき、患者さまと接しいろいろなお話させていただいている中で 『?』 『それって誰が言ってたの?』 『ホント?』 というような話を耳にすることが少なからずあります。そこで鷲尾歯科医院より『歯周病についての正しい情報』をご案内させていただこうと思います。


 1. 日本人の歯を失う原因の第一位が【歯周病】です
 2. 日本人の成人の8割以上が【歯周病】にかかっています
 3. 【歯周病】の主原因は細菌(一般に歯周病菌と言われている嫌気性菌)です
 4. ‘歯周病菌’は歯の表面に歯垢:プラーク・歯石として付着しています
 5. 歯垢:プラークは歯ブラシで除去することが可能ですが 歯石は歯ブラシでは除去できません
 6. ‘歯周病菌’は、歯の表面をつたいながら深部へ進行します
 7. ‘歯周病菌’が産生放出する毒素によって 歯の周りの組織が破壊されます
 8. 【歯周病】は、歯磨きだけでは治りません
 9. 【歯周病】は、クリーニング程度の歯石取りだけでは治りません
10. 歯周病治療には、咬合・修復・矯正治療等も必要となります
11. 歯周病治療・予防・再発防止には 精度の高い正確な歯磨きブラッシングが重要となります
12. 歯周病治療後は定期的なメインテナンスが大変重要となります

歯周病治療のキーポイントは【力のコントロール】と【炎症のコントロール】の2つです。

歯周病は、歯科の三大疾患(歯周病・むし歯・顎関節症)の一つで日本人には特に多い病気です。慢性疾患であり根気強い治療が必要となります。
むし歯にならないよう歯を守る事も大切ですが、歯を支える歯周組織(歯ぐき 顎の骨 セメント質 歯根膜)を守ることも同じくらい大切です。

歯周病とは細菌感染や咬み合わせが主原因となり、歯を支えている歯ぐきや顎の骨を化膿させたり破壊させたりする病気です。
一定限度を越えて重症化してしまうと、一生懸命に治療しても100%の回復は難しくなります。
治療に早すぎるという事はありません。初期段階にて適切な治療を開始し、あまりひどくならないうちに完全に治療する事がポイントです。

鷲尾歯科医院 院長:鷲尾拓志は大学卒業・歯科医師免許取得後、大阪歯科大学歯周病学講座医局に在籍(1991年~2007年)し、長年にわたり歯周病治療の研鑚をしてまいりました。歯周病治療においてその経験をお役にたてたいと思っております。

歯周病は全く痛みを伴わず、歯が抜け落ちるまで 気がつかないと言う非常に厄介で怖い病気です。
歯周病治療および予防・メンテナンスには正しい歯周病の知識を持っていただくことが必要と考えております。
主な歯周病の原因は、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目に細菌が住みつき、エンドキシンという毒素を排出し歯や骨を溶かしていきます。歯石も細菌によるものです。
特に、歯並びが悪い場合や、きちんと正しい位置に生えていない歯の箇所は歯ブラシが困難となり多くの磨き残しとなってしまいます。
これが、矯正せずに長年続いた場合には、歯を磨いていない期間が続くこととなり、歯周病の大きな原因の1つとなります。
歯科矯正は、これらの病気を予防するためにも、非常に大切な治療です。
     

歯周病治療のテーマは『炎症のコントロール』と『力のコントロール』の2大ポイントと考えております。
鷲尾歯科医院におきまして、その2大ポイントを3つのステージにわけて考えており、その階段を着実に昇っていくことこそが歯周病治療に必要なことです。

第1ステージは正確な検査(歯周病の検査にリンク)によって実態を把握し、なぜ歯周病が起こったのかを追求していくことです。
細菌感染による炎症が原因の場合、細菌を排除せずに治ることは期待できません。まずは正確な歯ブラシ法を確立することが先決となります。
そして正確な歯ブラシ法を確立と並行して歯石・歯垢の排除となります。この時点において私たち歯科医師・歯科衛生士ができることは、歯ブラシテクニックの指導および、歯ブラシではとれない歯垢・歯石を除去してさしあげること(だけ!)になります。
歯周治療はむし歯治療と異なり人工物を作製(補綴:ホテツ)することではなく、患者さまご自身の治癒能力を引き出すことです。そのための環境改善として正確な歯ブラシができるようになられることが重要となってきます。

第2ステージは第1ステージでの成果を評価し、さらに第1ステージではとれないポケット奥深くにはいっている細菌・歯垢・歯石の除去です。ここでの対象は、患者さまご自身の歯ブラシではなかなか届かない場所をねらっての治療ですので、ここからが私たち歯科医師・歯科衛生士の本領発揮です。奥深くに器具を入れて取るのですから麻酔(無痛治療へリンク)が必要な場合も出てきます。
もう1つは歯並び・不良補綴物・歯ぎしり・食いしばり等によっておこっている、不要な力のコントロールを行っていくことです。古い補綴物を撤去し、新しいものに換える。矯正治療を行う。かみ合わせの調整をする。マウスピースを装着する等が含まれてきます。

    

第3ステージは歯周外科といわれるステージになります。歯周外科に+αの要素を加えた歯周組織再生療法もここに含まれていると言っていいと思います。
外科処置の目的は確実に病的箇所を見える状況にして、細菌に汚染・感染された箇所を(お掃除して)郭清(原因細菌はもとより歯垢・歯石を取って)する処置です。
再生療法とは歯周外科処置と同時に失った歯周組織(歯ぐき・顎の骨・セメント質・歯根膜)の再生を期待して特殊なタンパク質(エムドゲイン)・骨補填材を用いて行う手法を言います。
患者さまご自身において正確な歯ブラシができていない状況の時(第1・第2ステージを省略して)に、歯周外科・歯周組織再生療法(第3ステージ)にはいることは歯科医学的(エビデンス)にも健康保険システム(健康保険法)からもできません。お口の中が不潔で細菌だらけの環境で歯周外科・再生療法をおこなえば、感染が広がっていくばかりですので、決してあせって行う事は禁物です。歯周病治療はゆっくり・じっくり気長に…という考え方が必要となります。

ポケット測定

ポケットとは歯と歯ぐきの隙間をさします。文字通りシャツやズボンの『ポケット』と同じ形状をしています。そのポケットには歯周病原因菌や歯垢、場合によっては歯石までが存在しています。深く大きな『ポケット』には大量の歯周病原因菌がいることになります。そのためポケットを正確に測定することが歯周病の程度を知る大切な手掛かりとなります。

歯牙動揺度検査

歯周病により歯を支える歯周組織(歯ぐき・顎の骨・セメント質・歯根膜)にダメージが加わると、歯がグラグラしてきます。どの程度歯が動くかを調べることにより、歯周組織のダメージの程度を知る大切な手掛かりとなります。

歯肉出血検査

歯周病により歯を支える歯周組織(歯ぐき・顎の骨・セメント質・歯根膜)にダメージが加わると、歯肉の炎症症状が現れます。炎症の4徴候『発赤(ほっせき):赤くなる』『腫脹:腫れる』『疼痛:痛みがある』『発熱:局部・全身の体温が上昇する』のうち『発赤』『腫脹』は血管拡張によるもので、出血を伴う事が多いです。ポケット測定や歯ブラシ時にどの程度出血するかということは歯周組織のダメージの程度を知る大切な手掛かりとなります。

歯垢沈着量の検査

歯垢=歯周病やむし歯の原因となる細菌と言っても過言ではないでしょう。お口の中の歯垢量を測ることは今後の治療方針にも大きく影響してきます。上手な歯ブラシができる患者さまとそうではない患者さまでは現状に差があることはもちらん今後の治療計画・処置においても差が生じます。お口の中が不潔な状態のほうが体に(プラス)ということは一般的にはありません。

歯間離開検査

歯と歯の隙間の大きさを測ります。通常50μ~100μ(ミクロン)程度が適正と言われていますが、個人差も相当大きいです。150μ~200μ程度になるとお肉や野菜の繊維がつまりやすく、不潔な環境となりますので歯の形態修正治療や補綴(ホテツ):人工物による修復が必要となります。

細菌検査

われわれ、歯科医師や歯科衛生士でも肉眼で細菌を見ることはできません。唾液を調べることによってお口の中の(細菌の)状態を調べることができます。

歯周病は細菌(歯垢・プラーク)が主原因で発症し、症状が悪化していくのですが、細菌(歯垢・プラーク)だけでなく『たばこ(喫煙)』が原因で歯周病の症状が悪化し、さらにタバコを吸っている方は歯周病の治療を行っても反応が見えにくい(=治りにくい)といわれています。

●歯周病とタバコの関係
なぜタバコが歯周病の症状を悪化させ、治りづらくしてしまうのでしょうか?
みなさんご存じのとおり、タバコにはニコチンという物質が含まれています。その『ニコチン』が正常な体の反応を妨げます。歯周病に関係するものは2つあり、1つは『血流量の低下』、もう1つは『口腔内環境の悪化』と考えられます。

具体的には、正常な免疫力を有する人間の身体ではケガや病気をしても自然治癒力があります。ある程度の病気やケガであれば免疫反応によって自然にに治っていくのですが、タバコに含まれる『ニコチン』という物質は血液の流れが悪く、身体の抵抗力を下げるため、十分な血液をケガや病気の場所に運ぶことができない事になります。
よって 喫煙者 = 『病気にかかりやすい』 = 『歯周病になりやすい』 となり
さらに病気(歯周病)になっているにもかかわらずタバコを吸い続けていると、
    『病気が治りにくい』 = 『歯周病も治りにくい』 ということになってしまうのです!

またタバコにはニコチン以外にも多くの(有害)物質が含まれており、それらの物質が唾液の分泌量を減少させたり、歯垢(プラーク)を付着させやすくしますので、たばこを吸う人は歯周病になりやすく、歯周病が治りづらく、例え完治しても再発しやすいのです!
すなわち喫煙者=『口腔内環境』の悪い人となり 歯周病治療・予防のどちらにも好影響を及ぼすことはありえません。

たばこをやめない限り歯周病は治らない!とさえ言われていますので、歯周病を完治させ、再発を防ぎたい場合は、たばこをやめる事も1つの歯周病治療法と言えると考えます。

あるデータによると、『タバコ喫煙者は吸わない人に比べて2~6倍、歯周病になりやすい』とされていますので(喫煙歴が長く1日の本数が多ければ多いほど倍率は高くなります)、例え現在、歯周病になっていなくても、たばこを吸っていると歯周病へのリスクが高くなり、逆に禁煙すると歯周病へのリスクが下がりますので、歯周病を予防するためにも禁煙することをお勧めします。

歯周組織(歯ぐき・顎の骨・セメント質・歯根膜という歯を支えているパーツ)を積極的に再生さすことにより、歯の寿命を延ばすために行う処置法の事を言います。中でも主に歯周病で吸収してしまった骨を回復させることを目的としています。
代表的な歯周組織再生療法には、次のようなものがあります。

〇骨移植(自家骨移植、他家骨移植、人工骨移植があります)
  
〇GTR法(メンブレンという膜を使う方法です)
  
〇エムドゲイン(骨成長誘導因子:骨を作る事が可能かも?と、言われている薬剤を使う方法です)
  
〇骨移植・GTR法・エムドゲインの併用法   

歯周組織再生療法は手術(歯周外科治療:歯肉を切開し、骨が見える状況で行うもの)の必要があります。保険診療で言う歯周外科処置では歯周組織の再生はなかなか望めませんので、目的が異なると言っていいでしょう。
治療が成功するかどうかはどの方法を用いて治療を行ったのかということよりも、スケーリング・ルートプレーニングによって感染物質が徹底的に除去できているかどうかや、毎日のプラークコントロールがしっかりとできているかどうかなど患者さまご自身の治癒能力をいかに引き出せるかがポイントとなります。

歯そのものニ むし歯もなく健康であっても 歯の周囲にある歯周組織(歯ぐき・歯槽骨・セメント質・歯根膜)に問題があれば 本当の意味で健康なお口の状態とは言えないのではないでしょうか?
患者さまに一番なじみのある例は 歯ぐきの痩せによる歯根面露出です 
本来歯ぐきで覆われていなければならない部分が露出してくると 審美的に問題があるだけではなく 知覚過敏や露出歯根面(象牙質・セメント質)のむし歯の危険性が増加したり 付着歯肉の狭小もしくは喪失による歯周病の進行を進めることもあります 

 

また歯周形成外科療法をおこない 外科的に歯周組織の健全化(本来の正しい位置に、分厚い強い歯ぐきをつくる)を図ることにより、歯周病の進行を抑制する事が可能となると同時に むし歯の危険性を低減させ審美性も回復することが可能となります

 

診察時間

平日(月・火・水・木・金)
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